不特定多数の人が出入りし、且つ火災などが発生した際に人命に関わるなど大きな被害に発展するリスクが高い建物のことを「特定防火対象物」といい、延べ床面積が1000m2以上の建物については非常用電源を設置することが消防法で義務付けられています。
非常用電源を設置する必要がある特定防火対象物は、具体的に以下のようなものが挙げられます。
非常用発電機は災害時の人命救助の生命線ともいわれ、2006年には「年1回の非常用発電機の定格出力確認の義務化」が総務省消防庁より通達されています。
総務省消防庁予防課設備係が発表したデータによると、2011年に発生した東日本大震災において、震度6強以上の地域に設置された4,811台のうち、233台の非常用発電設備が不始動または何らかの原因で停止しました。これは全体の5%にあたる数値ですが、台数に関係なく、非常用発電機が正常に稼働しないことは人命に関わる可能性があります。
また、233台のうち、メンテナンス不良によって不始動または異常停止したのは23台。全体の0.05%にあたります。なお、メンテナンス不良において、未燃燃料の蓄積が原因の不始動・停止はありませんでした。
非常用発電設備は人命を守るために重要な役割を担っていますが、せっかく設置していても非常時に正常な稼働ができなければ意味がありません。そのため、非常用電源の設置と共に、非常用発電設備の定期点検の実施の重要性も理解しておかなければなりません。
BCP(Business Continuity Plan)とは、災害が発生した際に企業がとるべき対策のことをいいます。
自然災害などが発生した場合を想定し、企業は人命保護や事業の継続・復旧のために電力を確保する必要があります。
特に大規模な災害の場合、電気の復旧には1週間程度かかるとされていることから、1週間分の照明の確保や通信手段の維持を考慮しなければなりません。
そこでまず優先すべきなのが非常用電源であり、非常用自家発電機の導入、もしくは燃料式発電機(石油式・ガス式)や蓄電池、LPガス、太陽光発電などを設置する、さらにEV(電気自動車)を蓄電池として活用するといった方法もあります。
なお、BCP対策として電力を確保する上で、非常時にどのくらいの電力を確保する必要があるのか、具体例として何台のパソコンを稼働させるのか、それにはどのくらいの電力量はいくらかなどを数字で算出し、通常よりも多めに見積もるといったことも重要になります。
火災や地震等の非常時において、非常用発電機が正常に稼働しないことで二次災害を招く危険性があります。
たとえば非常時に電源を確保できないことで、エレベーターが稼働せず移動や備蓄品の搬送が困難になる・火災時に消防設備が作動しない・医療機器が使用できないといった二次災害が起こるでしょう。
つまり非常時に非常用発電機が正常に稼働しない場合、二次災害によって負傷者がでたり、最悪の場合死者がでてしまうことも考えられるのです。
非常用発電機が正常に稼働しなかったことで二次災害を招いた場合、その責任は施設の所有者及び管理者にあります。
「社員が会社の業務に違反した場合、行為者本人と会社の両方に罰則が適用される」という両罰規定がありますが、消防法においても両罰規定が設けられ、第45条・第39条・第41条で言及されています。
つまり、二次災害のリスクがあると認められるにもかかわらず非常用発電機の設置や点検を怠り、実際に二次災害を引き起こした場合、施設の所有者及び管理者に責任が問われることになります。
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