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方法・手順について

非常用発電機の負荷試験の方法や手順について解説。本負荷試験と模擬負荷試験の違いについても説明します。

非常用発電機の
負荷試験とは

非常用発電機は消防法などの規定により、定期的な点検、報告が義務付けられており1年に1回、予防のための保全策が講じられている場合は6年に1回の負荷試験または内部観察による点検を実施することが定められています。平成30年6月の消防法施行規則等の改正により、ガスタービン発電機については負荷試験の義務付けはなくなりました。

負荷試験は原則として30%以上の負荷運転を30分以上行う必要があります。これは、月次点検などで行う無負荷運転のみではディーゼルエンジン内に堆積されたカーボンが燃焼排出できないためです。

参照元HP:総務省消防庁公式「消防用設備等の点検要領の一部改正について(PDF)」
https://www.fdma.go.jp/laws/tutatsu/assets/300601_yo373.pdf

無負荷試験で済ませないよう注意

消防法において、総合点検の一部として非常用発電機の負荷試験が義務付けられています。そのため、負荷をかけない無負荷試験のみで点検を完了することはできません。

そもそも非常用発電機のほとんどはディーゼルエンジンが使われており、軽油でエンジンを動かして発電します。負荷試験では非常用発電機のマフラー内部などに堆積した未燃焼物やカーボンを排出することができます。

しかし軽い負荷でエンジンを稼働させると燃料が全て綺麗に燃えず、燃えかすが残ってしまいます。排気口やエンジン内に残ったままだと詰まりを起こし、故障の原因に。

加えて稼働時と無負荷試験では負荷が異なるため、実際の運転性能を確認することができない点も挙げられます。つまり非常用発電機の動作を確認するためには、負荷試験を行う必要があるということです。

非常用発電機の故障や不具合を予防するためにも、負荷試験を行いましょう。

本負荷試験と
模擬負荷試験の違い

負荷試験には非常時に電力を供給する設備を利用する本負荷試験と乾式ヒーター式の模擬負荷試験機を利用する模擬負荷試験の2つがあります。法律上はどちらの方法でも問題はありませんが、それぞれにメリット、デメリットがあります。

本負荷試験のメリット

各設備の点検を
同時に行うことができる

非常時に使用する設備を稼働させて負荷をかけるため、それぞれの設備が正常に作動するかどうかを、個別ではなく同時に点検することができます。

本負荷試験のデメリット

施設の停電または瞬停が発生する

施設内に設置されている設備を利用するため、全館停電や瞬停が発生。作業は半日~1日に及ぶこともあり、停電が許されない施設もあるため実負荷試験ができない場合もある。

負荷率が安定しない

エレベーターやポンプへの電源供給があるため、長時間30%以上の負荷の維持が困難であり負荷率が安定しない。

多くのスタッフが必要で
コストがかかる

稼働させる設備ごとに人員配置が必要となり大掛かりな試験になり、費用が高価になる可能性がある。

模擬負荷試験のメリット

施設停電が発生しない

発電機の系統を一時的に切り離して専用の模擬負荷装置に接続して試験を実施するため、停電がなく、営業中に短時間(約2時間)で試験を完了することができる。

負荷率が安定する

専用の試験機を利用して自由に負荷をコントロールしながら試験を行うため、確実に30%以上の負荷を長時間にわたってかけ続けることができる。

スタッフが少なくコストを抑えられる

模擬負荷試験では、最低2名のスタッフで点検を実施することができるため、コストを抑えることができる。

模擬負荷試験のデメリット

各設備の点検を同時に行えない

消防設備や電気工作物を1つ1つ動かして同時に点検することができないため、各設備の点検は負荷試験とは別途で行う必要がある。

負荷試験の方法と手順

一般的な模擬負荷試験の流れは以下の通りです。なお、機器の種類や状態、設置場所や出力などにより作業工程や時間が変わることがあります。

  1. 発電機前まで疑似負荷試験機の搬入
  2. 負荷運転実施前の事前点検
  3. 発電機を自動から手動(試験)に切替
  4. 発電機と疑似負荷試験機のケーブル接続
  5. 発電機始動 5分間の無負荷運転
  6. 計量器や表示灯等、異常の有無を確認
  7. 負荷10%の負荷運転(5分間)、
    電流値の測定、計量器や表示灯などの以上の有無を確認
  8. 負荷20%の負荷運転(5分間)、
    電流値の測定、計量器や表示灯などの以上の有無を確認
  9. 負荷30%の負荷運転(30分間)、
    電流値の測定、計量器や表示灯などの以上の有無を確認
  10. 負荷を徐々に落として5分間の無負荷運転(クールダウン)
  11. 発電機の停止
  12. ケーブルを取り外し、発電機点検後に自動モードに切替
  13. 異常の有無を最終確認
  14. 負荷運転完了報告

予防的な保全策

非常用発電機の故障やトラブルを未然に防ぐためには、予防的な保全策が重要です。確認すべき項目や方法は機器によって異なるため、事前にチェックしておきましょう。以下で総務省消防庁が公表した予防的な保全策について紹介します。

なお、対象の非常用発電機に上記の装置が設けられていない場合は確認不要です。

予防的な保全策の1年ごとに確認すべき項目

  • 予熱栓
    予熱栓が設けられている場合は、発熱部に断線や変形、絶縁不良などがないかを確認します。
  • 点火栓
    点火栓が設けられている場合は、電極の異常な消耗・異常な燃焼残さ物(カーボン)の付着がないかをチェックします。また、プラグギャップ値が製造者による指定地範囲内であることも確認します。
  • 潤滑油プライミングポンプ
    プライミングポンプが設けられている場合、正常に動作しているかどうかを確認します。
  • 冷却水ヒータ
    冷却水ヒータが設けられている場合、冷却水ヒータケースの外周あるいは近傍の配管などに触れ、その他の部位より温度が高いことを確認。また、テスタを用い、冷却水ヒータに断線等の異常がないかを確認します。
参照元HP:【PDF】総務省消防庁「自家発電設備の点検要領の改正等について」
https://www.fdma.go.jp/mission/prevention/suisin/items/r01_0628-3.pdf

製造者が設定する推奨交換期間内に交換すべき部品

  • 潤滑油
  • 冷却水
  • 燃料フィルター
  • 潤滑油フィルター
  • ファン駆動用Vベルト
  • 冷却水用等のゴムホース
  • 燃料、冷却水、潤滑油、給気、排気系統や外箱等に用いられるシール材
  • 始動用の蓄電池
参照元HP:【PDF】総務省消防庁「自家発電設備の点検要領の改正等について」
https://www.fdma.go.jp/mission/prevention/suisin/items/r01_0628-3.pdf

予防保全や内部観察
などにも対応する
業者を選ぼう

非常用発電機の性能を維持するには、本負荷試験や模擬負荷試験だけでなく予防保全や内部観察などの法令に準拠した点検をまるごと依頼できる業者に相談することをおすすめします。

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