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非常用発電機の更新・入れ替え

非常用発電機は、停電時に建物へ電力を供給する重要な設備です。しかし、長期間使用していると内部部品の劣化が進み、いざというときに正常に起動できなくなるリスクがあります。特に設置から15〜20年以上が経過している場合は、故障の可能性だけでなく、部品供給の終了や消防法基準への不適合といった問題が生じるケースも少なくありません。

この記事では、非常用発電機の更新・入れ替えが必要になる理由や、更新を検討すべきサイン、更新費用に影響する主な要因についてわかりやすく解説します。

非常用発電機の更新はなぜ必要?

非常用発電機の更新が必要とされる主な理由は、経年劣化によって「いざというときに確実に動かないリスク」が高まるためです。

非常用発電機は、普段は稼働する機会が少ない設備ですが、停電や災害時には確実に電力を供給できる状態であることが求められます。しかし、長期間使用していると、バッテリーや制御基板、エンジン内部などの部品が徐々に劣化し、非常時に正常に起動・稼働できなくなる可能性が高まります。

また、古い機種ではメーカーによる部品供給が終了しているケースもあり、故障時に修理そのものができないこともあります。さらに、消防法の改正や建物設備の変更によって必要な出力が増え、設置当時の容量では不足してしまう場合もあります。

このように、非常用発電機は「今動いているかどうか」だけでは十分とはいえません。非常時に必要な出力を安定して供給できる状態を維持するために、適切なタイミングで更新や入れ替えを検討することが重要になります。

更新を検討すべき5つのサイン

非常用発電機は、突然故障するというよりも、経年劣化によって少しずつ性能が低下していく設備です。そのため、「まだ動くから大丈夫」と判断してしまい、更新のタイミングを逃してしまうケースも少なくありません。

ここでは、非常用発電機の更新・入れ替えを検討すべき代表的な5つのサインについて解説します。

耐用年数を超えている(15〜20年が目安)

非常用発電機の法定耐用年数は15年とされており、実際の更新時期も15〜20年程度が一つの目安とされています。適切にメンテナンスを行っていても、長期間使用することで内部部品の摩耗や劣化を完全に防ぐことはできません。

特に、非常用発電機は日常的に運転する設備ではないため、不具合に気づきにくいという特徴があります。設置から20年前後が経過している場合は、故障リスクや部品供給の状況も含めて、計画的な更新を検討することが大切です。

負荷試験で規定出力が出ない

負荷試験で規定の出力や電圧を維持できない場合は、発電機本体の性能が低下している可能性があります。特に、一定時間の運転中に電圧が不安定になる、必要な容量を維持できないといった症状が見られる場合は注意が必要です。

非常用発電機は「起動すること」だけでなく、「必要な電力を安定して供給できること」が重要です。負荷試験で異常が確認された場合は、修理対応だけでなく、更新や入れ替えも含めて検討することが望ましいでしょう。

バッテリー交換頻度が増えている

非常用発電機の始動にはバッテリーが使用されており、一般的な交換目安は5〜7年程度とされています。しかし、以前よりも交換頻度が短くなっている場合は、本体側の劣化が進行している可能性があります。

また、エンジン始動に時間がかかる、電圧が不安定になるといった症状も、更新を検討するサインの一つです。バッテリーだけを交換しても不具合が繰り返される場合は、発電機本体の状態を確認することが大切です。

エンジンオイル・冷却水に異常がある

エンジンオイルや冷却水に異常が見られる場合も、老朽化を判断する重要なポイントです。オイルの劣化が早い、冷却水の減少が激しい、ラジエーター内部にサビや汚れが発生しているといった場合は、エンジン内部の摩耗が進んでいる可能性があります。

そのまま使用を続けると、オーバーヒートやエンジン損傷につながるおそれもあります。定期交換を実施しても異常が改善しない場合は、修理だけでなく、更新も視野に入れて検討することが大切です。

メーカー部品の供給が終了している

設置から15〜20年以上が経過した非常用発電機では、制御基板や専用部品の生産が終了しているケースがあります。故障しても交換部品が入手できず、修理対応そのものが難しくなることも少なくありません。

特に制御基板は代替品での対応が難しい場合も多く、部品供給の終了が更新の直接的なきっかけになることもあります。点検時に「メーカー部品の供給が終了している」と指摘された場合は、早めに更新計画を立てておくと安心です。

更新と修理、どちらを選ぶべきか

非常用発電機に不具合が発生した場合、「修理で対応すべきか、それとも更新したほうがよいのか」で悩むケースは少なくありません。軽微な故障や消耗部品の交換であれば、修理によって継続して使用できる場合もあります。

一方で、設置から15〜20年以上が経過している場合や、負荷試験で出力低下が確認されている場合は注意が必要です。たとえ一時的に修理できたとしても、別の箇所で不具合が発生する可能性が高く、結果的に修理費用がかさむケースもあります。

また、メーカー部品の供給が終了している場合は、今後の維持管理そのものが難しくなる可能性も考えられます。そのため、更新か修理かを判断する際は、単純な修理費だけでなく、負荷試験の結果や使用年数、部品供給の状況、将来的な維持コストまで含めて総合的に判断することが大切です。

非常用発電機の更新工事の流れ

非常用発電機の更新工事は、既存設備の撤去だけでなく、容量確認や搬入計画、消防署への届出なども必要になるため、事前準備が重要です。特に、設置から長期間経過している建物では、周辺環境や消防法基準が変化しているケースもあるため、現地調査をもとに工事計画を立てる必要があります。

  1. 現地調査
    設置場所や搬入経路、既存設備の状態などを確認します。屋上や地下など設置環境によって、クレーン計画や工事方法が大きく変わることがあります。
  2. 容量再計算(消防法基準)
    現在の防災設備に対して必要な発電容量を再計算します。設置当時より設備が増えている場合は、容量アップが必要になるケースもあります。
  3. 見積もり比較
    更新工事は本体価格だけでなく、搬入出費用や基礎工事費なども発生します。複数社で比較しながら、工事内容を確認することが重要です。
  4. 搬入出計画
    既設機の撤去方法や新設機の搬入経路を検討します。周辺建物や電線状況によっては、大型クレーンや分解搬入が必要になる場合もあります。
  5. 更新工事・据付作業
    既存の非常用発電機を撤去し、新しい発電機を設置します。設置後は配線接続や試運転を行い、正常に稼働するかを確認します。
  6. 設置届提出
    工事完了後は、消防署へ必要書類を提出します。多くの場合は施工業者が対応しますが、事前に確認しておくと安心です。

非常用発電機の更新費用を左右する要因

非常用発電機の更新費用は、本体価格だけで決まるわけではありません。設置場所や搬入条件、既存設備の状況によって必要な工事内容が変わるため、同じ容量の発電機でも費用に差が出ることがあります。

  • 設置場所による工事難易度
    地上設置に比べ、屋上・地下・屋内などは搬入出や据付作業が複雑になりやすく、工事費用が高くなる傾向があります。
  • クレーン搬入の条件
    周辺建物や電線の位置によっては、大型クレーンや特殊な搬入作業が必要になることがあります。設置環境によって費用差が生じやすい部分です。
  • 必要容量の変更
    消防法基準の見直しや設備増設により、既存より大きな発電容量が必要になるケースがあります。本体価格や関連工事費の増加につながります。
  • 基礎補強や防水工事の有無
    新旧設備でサイズや重量が異なる場合は、基礎の補強工事が必要になることがあります。屋上設置では防水工事が発生するケースもあります。
  • 既設発電機の撤去・処分費
    既設機にはオイルや冷却水などが残っているため、適切な処分作業が必要です。撤去費や産業廃棄物処理費も更新費用に含まれます。

更新を先延ばしにするリスク

非常用発電機の更新を先延ばしにすると、停電や災害時に正常稼働できなくなるリスクが高まります。特に、内部部品の劣化や出力低下は外見だけでは判断しにくく、実際に非常時になって初めて不具合が発覚するケースも少なくありません。

また、古い機種ではメーカー部品の供給が終了していることもあり、故障時に修理対応できない可能性があります。負荷試験で異常が確認されている状態を放置すると、消防法上の基準を満たせなくなるケースもあるため注意が必要です。

非常用発電機は、万が一の際に人命や事業継続を支える設備です。突然の故障リスクを避けるためにも、点検結果や使用年数を踏まえながら、計画的に更新を検討することが重要です。

まとめ|負荷試験結果をもとに計画的な更新を

非常用発電機は、設置から年数が経過するほど故障リスクや部品供給終了の可能性が高まります。ただし、必ずしも「古い=すぐ更新」ではなく、まずは現在の状態を正しく把握することが重要です。

特に、負荷試験は発電機が必要な出力を安定して供給できるかを確認する重要な点検です。試験結果や設備状況をもとに、修理・延命・更新を総合的に判断しながら計画的な設備更新につなげていきましょう。

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