非常用発電機は、災害や停電などの「いざという時」に施設や命を守るための命綱です。その重要な点検方法の一つとして、2018年(平成30年)の消防法改正により、従来の「負荷運転」に代わる手法として「内部観察」が認められました。
しかし、内部観察は全てのケースにおいて万能なわけではなく、コストや作業日数といった運用上の大きなハードルも存在します。
この記事では、内部観察の具体的な内容やメリット・デメリットを詳しく解説。「模擬負荷試験とどちらを選ぶべきか」についてもまとめているので、ぜひ参考にしてください。
「内部観察」とは、その名の通り発電機のエンジンを分解・開放し、内部の状態を直接チェックする点検方法のことです。
もともと、消防法では実際に負荷(電気抵抗)をかけて運転する「負荷運転」が義務付けられていました。しかし、設置場所の都合(騒音や排煙の制限)などで負荷運転が難しいケースがあるため、2018年の改正により、エンジン内部を直接確認する「内部観察」が代替手段として認められるようになりました。
具体的には、内視鏡や目視を用いて以下の項目を確認します。
もし点検中に「すす」の蓄積が見つかった場合は、洗浄による除去作業を行います。また、摩耗が進んでいる部品があれば、その場で交換を行うこともあります。
点検完了後は、各箇所の写真や計測数値を詳細にまとめた報告書を作成し、所轄の消防署へ提出する義務があります。
最大のメリットは、点検と同時にエンジンの「掃除」と「整備」ができる点です。部品を分解して直接作業を行うため、内部に蓄積した未燃焼燃料(カーボン)の除去や、摩耗した部品の交換をその場で行えます。
これにより、単なる動作確認を超えたオーバーホール(分解修理)に近いメンテナンス効果が期待でき、発電機の寿命を延ばすことにつながります。
模擬負荷試験のようにエンジンを全開で回す必要がないため、作業中の騒音や黒煙の発生を最小限に抑えられます。
住宅街の中にある施設や病院、精密機器を扱うオフィスビルなど、音や煙に対して細心の注意が必要な環境では非常に大きな利点となります。
大型の模擬負荷試験機(負荷装置)を現場に持ち込む必要がありません。
そのため、試験機の搬入経路が確保できない地下室や屋上、あるいは試験機を載せた車両を停めるスペースがない現場でも問題なく実施が可能です。
エンジンの分解・清掃・組み立てには、専門的な高度な技術と多くの人員を必要とします。そのため、一般的な模擬負荷試験と比較すると、点検費用は数倍から、場合によってはそれ以上に高額になる傾向があります。
内部観察は数日間にわたる長期作業となることも珍しくありません。
作業中は発電機を完全に停止させる必要があるため、その間に停電が発生してもバックアップが働きません。安全を確保するために別途仮設のバックアップ電源を用意する必要があり、そのためのレンタル費用や手間がさらに上乗せされます。
これが技術面での最大の懸念点です。内部観察はあくまで「部品の状態を目で見て確認するもの」であり、実際にエンジンを全開で回して電気を発生させるわけではありません。
そのため、「災害時に電気系統が正しく作動するか」「安定した電圧・周波数を維持できるか」といった非常用発電機としての本来の性能までは担保できないのが実情です。
結論から言うと、特殊な事情がない限りは「模擬負荷試験」を選ぶのがおすすめです。
内部観察は、エンジンの分解整備(オーバーホール)に近い作業となるため、どうしてもコストと工期が膨らみます。それに対し、模擬負荷試験は「停電時に本当に電力を供給できるか」という本質的な性能を、短時間かつ低コストで確認できるからです。
【模擬負荷試験がおすすめなケース】
【内部観察を検討すべきケース】
一般的なビルや施設においては、「コスト・スピード・確実性」のバランスに優れた模擬負荷試験のほうがメリットが大きいといえるでしょう。
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